2017年02月26日

実を言うと、私はなぜか昔からあの話に心を惹かれてきたのです。(村上春樹の『騎士団長殺し』を読む その2)

「とりあえず読み終えてから、書きはじめようと思う。」

と書いたのだったが、まだ第1部を読み終えてあらない。


昨日(25日)は、朝から1日じゅう仕事があったので、

朝5時には、読むのをいったんあきらめて寝た。


7時半に起きてすぐ枕元の本を手に取り読んだ。

そのまま、読むのに多少時間をかけすぎて、

電車で行くと微妙な時間になってしまった。

仕方があらないので、

いや、ないのでタクシーを呼んだ。

よほどの病気か急用か何かでなければ、

タクシーを呼んだりすることはないのだが。

言うまでもなく、ふつうはそういうものだろう。


もちろんタクシーの中でも読んでいくつもりだったが、

およそ20回に1度くらい当たるとても饒舌な運転手で、

「黙っていてもらえますか」という勇気はなかったので、

タクシーの中では読み進めることができなかった。

(「寝るんならロビーかどこかで寝てもらえますか」と、

会が始まるのと同時に寝始めた人に言ったのは、

この時の代償行為かと、いま書いていて気づいた。

寝るために集まったわけではないので寝る方が悪い。)


タクシー代の半分は運転手から得る情報代だと思うので、

タクシーに乗ると、いつもはこちらから話しかけるのだが、

話しかけられるのが好きではない人もいるんだろうなと、

そういうことに気づいて、ちょっと反省したのはしたのだ。


おまけに裏道を知り尽くしている地元の運転手で、

30分はかかると思っていた1つ目の行き先まで、

およそ、その半分程度の時間で着いてしまった。


しかし、1階ロビーはすでに行列をつくった、

とてもたくさんの人であふれ返っていた。

列の最後に着いて、並んでいる人にたずね、

ぼくが行こうとしている会ではないことを知ったが、

どこかに座れる場所を探すどころではなかった。


1つ目の仕事は2時間程度で済むだろうと思っていたが、

結局、終わった時には、4時間を過ぎていた。


1つ目の仕事から2つ目の仕事には電車で向かった。

土曜日の昼というのに、電車はとても混んでいて、

(「いうのに」ではなく、いつもそうなのだろうか?)

かさばる本を出すのは憚られたが出して読んだ。

2つ目の仕事は夜の8時前に終わったので、

(たくさんの人が乗り換える駅から乗ったので)

ずっと座って読みながら帰って来ることができた。

もちろん、カバーは、はずしてある。

ただし、フセンは目立ったかもしれない。

(気にする人など、いなかっただろうけれど。)


実を言うと、私はなぜか昔からあの話に心を惹かれてきたのです。(村上春樹の『騎士団長殺し』を読む その2)


ちょうど二等辺三角形を描くように移動して、

夜9時頃には家に帰り着くことができた。

第1部(1冊目)は、あと40ページ程度。

せめて1冊読み終えてから書こうと思ったのだが、

1時45分に投稿しないといけない気がしたのだ。

(理由は本を読んでね、と書くしかないのだが。)


よく知っている人の本が出てきたのには驚いた。

とてもとてもよく知っている人が書いた本なのだ。

そしてそれは、おそらくこの物語のひとつの核を、

形成することになるのであろう大事な位置にある。


まだ1冊あまり残っているので、もちろん、

そうではないかもしれないのだが、たぶんそうである。


ここまで書いてみて、何も書いていないことに気づいた。

でも、『騎士団長殺し』がおもしろいことは間違いない。


【追記】

「よく知っている人の本」について追加。

それを書いたのは200年以上前の人なので、

もちろん、出会ったことはない。

その人の書いた本を現代のわたしたちに向けて、

『騎士団長殺し』の言葉でいえば「翻案」をした、

その人(たち)のことをよく知っている。


そして、その物語は、

もしぼくが映画監督をすることがあったならば、

作品にしたいと、ずっと思っていた物語である。

映画監督にはなれそうにもないと思った頃から、

誰かが映画にしてくれないかと思うようになった。

アニメーションではなく、あくまでも実写で。

(そんなことも、もう何年も忘れていた。)

まだ、それは実現していないが(いないと思うが)、

村上春樹が取り上げたことで実現に近づいた。

すくなくとも近づく可能性は確実に高まった。


それから、これは弁明。

ぼくは隣で寝ている人に声をかけて起こし、

寝ていることを非難するようなことはしない。

寝ている人にもその人なりの事情があって、

そのことを非難する資格は誰にもないはずなのだ。


しかし、昨日の会は3年もかけて準備して、

(話が持ち上がってからは、6年になる。)

じつに多くの困難を超えて、実現の運びに、

やっとで漕ぎ着けた、そんな特別な集まりだった。

いや、どんな集まりであろうと特別で固有のものだが。


ぼく自身はそこにかかわるようになってまだ1年足らず、

ただ、多くの人たちが努力を傾けてきたということを、

目にも耳にもして知っていたというにすぎない。

しかし、いよいよ開催の運びとなるという時に、

ぎりぎりに駆け込んできたのみならず、

はじまった瞬間に前後左右に、

まるで芝居の連獅子のように盛大に、

舟を漕ぎ始めたのを見て黙っていられなかった。


その後の3時間あまり、彼が寝るのを我慢して、

1回コクリとするたびに姿勢を正し、

何かをしていたのだと周囲には見せようとして、

ごまかすそぶりを続けるのは気の毒だったが、

もしぼくが注意をしていなければ、

彼は盛大にいびきでもかきはじめただろう。

(そうなればスタッフが起こしに来ただろうけれど。)


彼は、12回ほど舟を漕ぎかけて立ち直り、

そのたびに、何かをしていたふりをし続けた。

そして、終了時間の30分ほど前に、

コートとカバンを抱えて立ち上がり、出て行った。

ロビーに居眠りに行ったのではないことは、

その決然とした態度で理解できたのだが。


ぼくがタクシーで読書をさまたげられて、

その腹いせに隣りの男に注意したのだと、

(そのような背景があったことは否定できないが)

そう思われるのはイヤだなと思って弁明しておく。


ちなみに、ぼくらが座っていたのはちょっと特別な席で、

彼とは、今後どこかで会うこともあるのかもしれない。

おそらく彼が二度と居眠りをしなかったのは、

ぼくに対する恨みが原動力になっていたのだと、

最後にこちらを見た彼の表情から理解した。

こちらもしばらく見返したままだったので、

はたから見れば、今日出会った男二人が、

熱烈に愛し合って別れを惜しんでいる、

そんなぐあいに見えたかもしれない。


最後に、もうひとつ。

『騎士団長殺し』がおもしろいと書いたが、

「おもしろい」どころではなく、「とんでもなく、おもしろい」。

謹んで訂正しておく。






同じカテゴリー(日々のこと)の記事
鹿電車、4回目!
鹿電車、4回目!(2023-07-02 00:01)


お返事が遅くなる場合があります。あしからず。
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。