沖縄・八重山探偵団

琉球銀行（りゅうぎん）本店が解体されるという。

昨年１１月１９日に、ＮＨＫＢＳニュースで知った。


解体工事が始まるのは年明けの１月からだが、

（つまり、そろそろ解体工事が始まっているか？）

一般を対象とした見学会が開かれたのだという。

コロナ禍の折でもあり、限定５０名ということだが、

５０名に選ばれた人は、ほんとうにラッキーだ。


ふだんは見ることのできない内部の隅々まで、

ニュースは、かなり時間をかけて映してくれた。

大きなニュースがない日だったのが幸いした。

少し前までであればアメリカ大統領の報道ばかり、

その頃であれば、確実にハネられていただろう。

（トランプの居直りは、とんでもないことになったが、

２か月たって大きく風向きが変わった。しかし、

まだ今後も予断を許さない展開が続くのだろう。

ひどい選挙のニュースはたびたび目にしてきたが、

この国にこれをやられたら、心底落ち着かない。）


りゅうぎん本店の話に戻ろう。


「復帰」の６年前に当たる１９６６年の竣工であり、

築後５０年以上がたって老朽化したので解体して、

５年後をめどに本店の入るホテルが建つのだそうだ。

（まだホテルを建てるのか、というのは正直気になる。

飽和状態で共倒れが起きなければよいのだが・・・。

いや、もう実際に起きているはずだ。まだ見えないが。）


１９６６年の竣工であれば築５５年を前にしての解体。

１９４８年に米軍が資本金の５０％を出資して、

設立されたのが琉球銀行であったわけでから、

それから１８年後に建てられた建物である。


建築史における貴重な文化財であるのは当然として、

そのような歴史の語り部であるから解体は惜しい。


建築を請け負ったのはアメリカの企業で、

外部はアーチ形の窓の下に青い色ガラス、

（安部公房の小説のタイトルみたいだ。）

その特徴的な窓が並んだ正面のデサインは、

そのあとに建てられた沖縄の建築物の多く、

とりわけホテルなどに大きな影響を与えた。

（と、ぼくは以前から勝手に考えている。）


現在は、地上５階、地下１階の建物だが、

竣工時には、地上２階、地下１階だったという。


参照１：沖縄都市モノレール“ゆいレール”　情報(公式）@okinawa_yuirail


確かに。３階以上の「接ぎ木」が見事だ。

そして、正面のエントランスも異なっている。

崇元寺石門を意識したようにも見受けられる。


参照２：YAHOO画像検索「琉球銀行本店」


すでに、本店の仮店舗ビルも建設に入っている。

仮店舗のビルを建ててしまうところが、すごい。

仮本店ビルの防護ネットのデザインが、

「いつの世までも」というのは反語だろうか、

・・・などと考えるのは、たぶん考えすぎだろう。


参照３：沖縄発・何でもあり 2020年6月1日


ちょうど今、東大阪では文化財級の建築物が、

解体工事に入っていて、近くを通るたびに、

つい経過の写真を撮ってしまうのである。

以前から、その価値を何度も話してきた。

しかし、あまりにあっけない幕切れなので、

シンポジウムを開こうと思ったのだったが・・・。

（昨年の社会状況下では、どうしてもできなかった。

ただ、小さな講演で話せたことはありがたかった。）


それは企業の持ち物なので仕方ない面もあるのだが、

公共の施設が解体されて行くのは心底がっかりする。

昨年は、掛け値なしに世界文化遺産級の建築物が、

あっさりと解体されて、コンビニになってしまった。

そういうなさけなくもある地域に住んでいるので、

解体されるのであっても、応分の扱いを受ける、

琉銀本店のことが（むしろそれを取り巻く文化環境が）

とてもうらやましいとニュースを見て心底思ったのである。




「価値のある建築物の解体」ということで思い浮かべるのは、ここ。

県立博物館であった歴史が、まるでなかったかのように、

「旧中城御殿」と呼ばれているのは、多少違和感がある。

でも、まあ、歴史的に見ればそうなんだろうなと納得はしている。


旧博物館のあと、別の用途に転用されるというので、

楽しみに待っていたのだが、結局解体されてしまった。

耐震設計への費用が膨大になったかららしいのだが、

なんとかならなかったのかな、とは思っている。


りゅうぎん本店の話をしているつもりで、

（この建物もそのうち「旧」がつくのだろう）

べつの建物の話になってしまったようだ。

更地になったのは仕方がないけれど、

なにかびっくりするようなをもった、

建物を建ててもらえないだろうか・・・。


と書いて、検索をしてみてびっくり。

中城御殿の復元計画があるって！？

知らんかった。調べてから物を言おう。

ああ、また、たのしみがひとつふえた。