【 報告(今年読了した本)5月前半期 5月1日~15日 『名嘉睦稔展 ー 風の伝言(イアイ)を彫る ー』 など  】

び ん

2017年05月20日 00:02

5月前半に読了することのできた本は3冊。


1、神島二郎 『結婚観の変遷』 1962年 新潮社

2、鈴木武雄 『日本人と経済観念』 1959年 同

3、名嘉睦稔 『名嘉睦稔展 風の伝言(イアイ)を彫る』 2017年 愛媛県美術館


(通算で、今年39~41冊目)。


1は、日本文化研究シリーズの中でも、ちょっと敬遠していたもの。

しかし、読み始めたら止まらず、一気に読み終わってしまった。

予想に反して、これまでのシリーズの中でも1,2を競うおもしろさ。

55年前の時点で、戦後日本の独身者本位の国家建設が、

どのような問題を惹き起こすかを詳細に予測していて、

それらがことごとく当たっているのにおどろきつつ、

この本が主張している「家庭本位の結婚観」への提言が、

いまなお有効であることに感心しながら、一気呵成に読み終えた。


反省して、同様に敬遠していた2を読み始めたら、

こちらも、予想以上におもしろい内容だった。

戦後復興期における政治観念と文学観念の膨張に対し、、

経済観念(経済に対する思想)はまったく置き去りにされて、

「お金さえあれば万事解決」というセンチメンタリズムだけが残った。

前半で身近な現象を取り上げつつ、怒る著者の勢いに押されて、

(著者は本の扉に、「これは、私のいわば”八つ当たり”的放言である。」

と、わざわざ書きつけているほどである。)

気が付くと、後半の経済分析(経済問題の核心)に入り込んでいる。

それも、復興計画と外貨獲得の相関など、かなり難しい分析の中に。

「ああ、こんなふうに無関心なる者を導く方法があるのか」と、

内容もさることながら、その見事な手さばきを堪能した。


結局、1日で2冊読み終えたこの日が特異日で、

あとの14日は、読了まで至らぬまま日が過ぎた。


雑誌や書籍の一部は読んでいないわけではないのだが、

1冊を読了する余裕がないまま、日々を過ごしている。

おそらく、こんな日々が6月前半まで続く・・・。





3は、展覧会の画集(図録)なのだが、「本」にかぞえた。

ボクネンさん本人をはじめ、ボクネン美術館館長の當山さん、

早くからボクネン作品の価値を見出していた阿部出版の松山さん、

(日本の版画雑誌の最高峰『版画芸術』編集主幹、美術評論家)

などといった人たちによる最新のボクネン論が載っているので。

そして、目を休めるためにも、いま、この画集は手放せない。



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