電線満月

び ん

2005年09月18日 04:15

きょうの月が満月だということを知って

外に出てみた。

わが家から見る月は

電線に引っかかって

すこしひしゃげていた。

いかにも大阪の月らしくて

これも、わるくない。





しかし、夕方に出て夜明けに沈んでゆく、この同じ月が

「きのうの月」とも「きょうの月」とも呼ばれる。

「大阪の月」でもあり、「沖縄の月」でもある。


そんなふうに、ぼくらは時間や空間によって

いつだって何かを「区別」しようとする。

「違う」ことは、よく見えるし

(ぼくらの目は変化するものにより強く反応する)

「変わる」ことのほうが、この社会では総じて価値が高い。


しかし、「同じ」ことだって大事なときがある。

「変わらない」ことのほうに価値のあるときもある。


時間や空間の違いが、いつも「絶対」なのではなく、

せいぜい「電線のあっちとこっち」程度であることも、あるはずだ。


そんなことを、ぼんやり考えていた。